記憶の家のキッチンは、まるで実験室のよう。
このキッチンで生み出される料理は大切な家族の心と体を作る。
そして、360度解放されたおおらかなキッチンではきっと何かをしたくなる。
もしかしたら小さな子がなんでもやりたくなるかもしれない。
大人だったら、たまには手の込んだものを作りたくなるかもしれない。
広い作業台は思いっきり散らかして、時には床に何かを思いっきりこぼすかもしれない。
それでも大丈夫。
なんでもやってみなくてはわからないよ、といっているかのように、ステンレスの台も床のタイルもそんな家族の成長を見守ってくれている。
包丁の使い方も、お皿の洗い方も、魚の捌き方も、鍋の温度も、季節の保存食の作り方も、ものが腐る過程も、タイミングも、とにかくやってみないとわからない。
加えて、季節を感じること。
春には花を活け、夏にはシロップを作り、秋にはおかしを焼いて、冬には薪ストーブの熱でドライフラワーを。
グレーと白を基調とした空間には、自然の色がよく似合う。
そして、キッチンの収納とは別に、飾ってみせる棚があります。
その棚には、色のあるものを。自然を感じる、手仕事の温かさを感じるディスプレイを。「飾る」という感覚は空間に表情と命をもたらします。
今年の梅酒はちょっと甘かった。
ブルーベリーのお酒は本当に色がきれい。
この豆の形が可愛いの。
そんな風に日々の喜びの蓄積を愛でることができる瞬間を。
記憶の家では、そこに存在するものすべてで人間を育てていきます。
目で見て、肌で体感し、心で受け止める。
キッチンはその体験の中心となる場所です。
人が育つときは、心が嬉しかった時だと思う。
心が嬉しいと、少し遠くにあったはずの景色に気づくことができる。
心が嬉しいと、誰かのために何かをしたくなる。
そのために必要な空間の広さと奥行きと質感。
家族を想う余裕と育っていくことの楽しさを、このキッチンが教えてくれます。